伝統釣法/横浜釣法の別を問わず,マゴチはアワセのタイミングが難しいと言われる.
それに加えて,横浜釣法のようにこちらから積極的にアタリを出しに行く釣り方では,アタリの取り方も微妙な場合がある.
横浜釣法におけるアタリの取り方,アタリが出てからのアワセのタイミングについて,わきたの経験則によるコツ ( みたいなもの ) についても書いておく.
アタリの取り方
マゴチの典型的な,判り易いアタリは,プルプルアタリ.
底立ちを切り直して,次の切り直しまで数〜十数秒のステイの間,プルプルと竿先を振るわせる明確なアタリ,これがマゴチの典型的なアタリだ.
船が風や潮で流されているときには,マゴチが活餌に喰い付いた後も船は流されていくので,仕掛が引っ張られる. マゴチは餌に逃げられまいとして,それを引き戻す. これがプルプルとして現れる訳だ.
マゴチのアタリがいつもこのプルプルなら,それを取るのは何ら難しいことはない.

問題は,非典型的なアタリ.
横浜釣法では,絶えず底立ちを切り直してマゴチのアタリを誘っているから,仕掛を上げ下げしてる間にマゴチがまだ餌をしっかりと咥える前の微妙なアタリが出ることがある. 仕掛をステイさせているときであっても,船が流されていないときはそんな微妙なアタリである場合が多い.
こんなアタリのときは,まだマゴチがしっかりと餌を咥えていないので,その後の対応を誤るとマゴチは餌に違和感を感じて離してしまう.

わきたがよく経験する非典型アタリ2パターンと,それへの対応の仕方を解説する.

まず,「 一発だけコツン 」 なアタリ。

船の流され方が緩やかなとき,仕掛ステイや底立ちを切り直すための仕掛上げの最中に,一発だけコツンとアタるときがある. 船が流れていないので仕掛にテンションが掛からず,餌を逃がすまいとするプルプルが出ない. ややもすると,錘が根に触っただけと勘違いするような1発のみのアタリだ.
このコツンを軽んじて,いつもの緩慢な底立ち切り直しの動作を継続することのないように. マゴチはそれで違和感を感じ取り,餌を離してしまう.

次に,「 ん? 根掛かり? 」 なアタリ。

底立ちを切り直すための仕掛上げの最中や船が緩やかに流れているときに,仕掛にモッタリと重いテンションが掛かることがある. 一見根掛かりのような,その割には仕掛がまったく持ち上がらないという訳じゃなく,ガッチリ根掛かったようには感じられない. まるで海草の大きな塊を引っ掛けてしまったかのような感触.
これを根掛かりだと勘違いして,乱暴に引き抜くなどしないように. せっかくのマゴチが逃げてしまう.

上記いずれの場合でも,このような違和感を感じたら,そぉーっと訊き上げること. 底立ち切り直しの仕掛上げよりも遥かにゆっくりと,優しく,静かに. そうすることで,マゴチは餌が逃げようとしてるものだと思い込み,餌を引っ張り返して,典型的なプルプルアタリに移行する.
アワセのタイミング
最初から典型的なプルプルアタリが出たのであれ,非典型アタリを訊き上げてプルプルアタリを出させたのであれ,アタリがプルプルになったらしめたもの. ここからは,アワセのタイミングを取って,ターゲットを仕留める.
アワセのタイミングとして,濱生丸のM船長が教えるのは2通り.

「 慣れた人は,プルプルがブルブルに変わるのを待って,アワセるんだよ 」
「 初心者なら,プルプルが出たらゆっくり7つ数えてからアワセりゃ良いよ 」

どちらも的確なご指導.
でも,せっかくだからこの2つに加えて,僭越ながらわきた流アワセのタイミングの取り方も書いておこう. と言っても,上記2つに較べると観念的・抽象的で理解し難いかもしれないが・・・

マゴチ釣りの醍醐味は2つあると,わきたは思っている. 1つは,うまく乗せたときの,あの強烈な引き. もう1つは,際限なく底立ちを切り直しマゴチに活餌をアピールするなかで突然訪れる,アタリ.
横浜沖のマゴチは浅場で釣るから,乗せた後の引き味が良いといってもそれをそう長くは楽しめない. すぐに上がってきてしまうから. だからもう1つの楽しみ 「 アタリ 」 を楽しまなくては,マゴチ釣りの醍醐味は半減してしまう.

上述のプルプルアタリが出たら ( 出したら ) 焦りつつアワセのタイミングを計るのではなく,余裕をもってそのアタリを充分に楽しもう. わきたの場合は,気持ちをアタリの楽しみに向けるため,アタリが出たら,誰に話し掛けるでもなくブツブツと 「 おっ,アタってる,アタってる 」 と呟く. 周りからはちょっとアブない奴と思われるかもしれないが,こうすることでアタリを楽しむ心の余裕ができる.
こんな風にマゴチのプルプルアタリを堪能している間に 「 ゆっくり数える7秒 」 は経過している筈だし,プルプルもブルブルに変わっていることと思う.
そしてアワセる
こうしてアワセのタイミングを取ったら,まだ続くブルブルアタリの楽しみに後ろ髪を引かれつつも,思い切り良くアワセよう. 竿先を降ろしながら,降ろした分をリールで巻き取り,アワセのためのストロークを確保する. ストロークを確保したらそれを目一杯使って,力強く竿を上げてアワセる. これで,マゴチのずしりとした重みが竿に乗る筈だ.
マゴチが乗ったら,まず竿を充分に立てて,底に貼り付いているマゴチを引き剥がす. 引き剥がしたら,そのままリールを巻く. ここで巻き取りのテンションを緩めたら,マゴチがバレてしまうことが多い. 強烈な引きを楽しみつつも,リールを巻く手は疎かにしないこと.

そしてこの時,忘れてはならないことがある.
マゴチが確実に乗った段階で,大きな声で 「 Fish ! 」 「 乗ったぁ! 」 などと叫ぶこと ( 重要 ). その途端,M船長中乗りAさんが 「 よっしゃぁ 」 の声とともに,タモを持って駆けつけてくれる. 船上のお祭り騒ぎが始まる. 取り込みはタモに任せて・・・
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